イチロー選手(以下、イチロー)は、もともと「投手」でした。
そんな彼はどうして、野手としてのキャリアをスタートさせたのか…?
彼の大活躍の裏には、才能を見出したスカウトの物語があったのです。
この記事では、イチロー選手の活躍の原点について、違った角度から記していきます。
【筆者・喜多の自己紹介】あらゆるジャンルの記事を書くブロガー・小説家。座右の銘は「人生は喜劇!喜怒哀楽全てエンタメに昇華!」

無名投手を野手として指名した三輪田スカウトの慧眼
イチローの才能を見出した人物として、オリックスの仰木監督が有名です。
しかし、そのオリックスに入団することができたのは、イチローを見出したオリックスのスカウト・三輪田さんのおかげでした。
彼のおかげで、イチローはオリックスからドラフト指名されたのです。
当時、愛工大名電のイチローは全国的には無名の投手でした。
イチローは、幼少期より地元愛知県の中日ドラゴンズ入団を熱望していましたが、中日は獲得に消極的でした。
また、育つかわからないお無名の高卒投手を指名するより、社会人卒の即戦力投手を指名するべきだという球団側の意向もあったのかもしれません。
ですが、三輪田スカウトの意見は違っていました。
彼は投手だったイチローの比類なき打撃センスを見抜き、「野手」として入団させようとしたのです。
三輪田の誠意・説得もあり、イチローはオリックス入団を決めました。
そこからの輝かしい成績(日米通算安打で「世界一」など)は、世界中の人の知るところです。
三輪田スカウトの慧眼がなければ、イチローは別の野球人生を歩んでいたかもしれません。
投手として入団していたら?
地元・愛知県の中日ドラゴンズに入団していたら?
仰木監督からの指導がなかったら?
大学卒業後にプロ入りしていたら?
あくまで仮定でしかありませんが、「高卒時」に「野手」として入団して、「仰木監督」の指導を受けることができた、というのは、イチローが最も活躍できるパターンだったのではないでしょうか。
そのように考えるならば、三輪田スカウトは、イチローだけでなく、日本、そして世界中から感謝されるべきです。
ところが、イチロー指名から7年後の1998年、三輪田スカウトは、自殺しました。
三輪田勝利さんの足跡
三輪田勝利さんは阪急ブレーブスに入団しますが、プロでは思うような結果を残すことができませんでした。
現役引退後、監督から「三輪田は誠意のかたまり」と評されたことでスカウトへ転身しました。
三輪田さんの人柄の良さは球界関係者の多くが認めていたようです。

三輪田氏
そして1991年、イチローを発掘し、野手として指名しました。
プロになったイチローがキャリアを重ねて大成していくほどに、天才を発掘した三輪田さんへの評価は高まったそうです。
1997年には編成部長に就任し、順風満帆なスカウト人生を送ります。
しかし、常に競争の世界にさらされるスカウトは結果がすべてです。
1998年のドラフトを巡り、悲劇が起こりました。
悲劇のドラフト 自殺の真相は闇の中
1998年のドラフト会議、オリックスは新垣渚投手(沖縄水産高校)を1位指名しましたが、福岡ダイエーホークスと重複し、抽選で交渉権を獲得しました。

新垣渚投手(沖縄水産高校)
ところが、新垣投手は「ダイエー以外だったら、大学へ進学する」と発言し、オリックスへの入団を拒否します。
つまり、誠意の限りを尽くしても通じなかったのです。(以下:記事抜粋)
「選手の自宅前で雨の降る中、6時間待つも本人に会えない。心配したイチローが三輪田スカウトに激励の電話を送っている。だが選手には会えたもののいっこうに交渉は進展しない」(澤宮優『ひとを見抜く』河出書房新社)
人一倍、責任感の強い三輪田スカウトは、新垣側と球団の板挟みになりました。
そして、心身ともに追い込まれ、1998年11月27日に那覇市内で投身自殺してしまったのです。

©デイリー新聞
まだ、53歳の若さでした。
この事件を週刊誌が数多く記事にしましたが、 事件の真相は未だ謎のままです。
労働省は「入団交渉を巡る過重なストレスが要因」と労災認定し、自殺が労災と認められた第1号となります。
この件は球界に衝撃を与えましたが、当人である新垣渚投手(当時高校生)も思い悩んだそうです。
自らがオリックス入団を拒否し、面会を拒否したことで三輪田が自ら命を絶ったことに責任を感じ、「(野球を辞めるべきか)悩んだ時期もあった」というのです。
しかし、亡くなった三輪田スカウトの夫人から「あなたのせいではない。これからも頑張って」と激励されたことで新垣投手は立ち上がるきっかけをつかみました。
彼は大学時代のインタビューで、「自分が活躍することが、最初に評価してくれた三輪田さんへの恩返し」と語っています。その後、新垣投手は、ダイエーホークスでプロ野球選手としてのキャリアをスタートさせます。
イチローと三輪田スカウト
生前から、イチローと三輪田スカウトは上下関係を弁えた上で互いの家族を交えたプライベートの交流もあったようです。
ですから、三輪田スカウトの自殺を知ったイチローは涙したそうです。
告別式では三輪田スカウトの棺に、愛用のバットを納め、渡米後も帰国時には三輪田家の墓参りを欠かさなかったといいます。
三輪田スカウトの死後も、イチローは遺族と交流を続けています。
イチローは、現役時代のオフシーズンに、古巣のオリックスブルーウェーブのグラウンドで練習をしていました。
古巣のオリックス、恩師の仰木監督、そして、自分をオリックスに導いてくれた三輪田スカウトに感謝していたのでしょう。
イチローだけでなく球団関係者の多くが慕っていた三輪田スカウトは、柔軟で温厚な紳士だったそうです。
そんな彼がドラフト会議を巡って自ら命を絶ってしまったことは残念でなりません。
さらに、江川選手の指名、KKコンビの指名、など、ドラフト会議は、トラブル続きです。
誰が悪いのか、それは一概には言えませんが、こういう悲劇があったことは忘れてはならないと思います。
|
慧眼の持ち主に、発掘される事が大事
大事MANブラザーズバンドはこう歌いました。
「負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事 駄目になりそうな時 それが一番大事」
しかし、スポーツ選手やアーティストにとっては、
「発掘される事」も大事です。
アニメではありますが、フランダースの犬のネロの描いた絵は、彼の死後、評価を得ます。
機動戦士ガンダムや、宇宙戦艦ヤマトも再放送で人気に火がつきました。
しかし、スポーツ選手には旬というものがあります。
何十年後に魅力を再発見される芸術作品とは違い、プレーできる期間のうちに実力を見出してもらわないといけないのです。
そして、それは自分の力だけではできません。
イチローにとっては、三輪田スカウトが、彼の可能性を見出してくれた恩人なのです。
誰もが初めは「原石」だった
野原の真ん中に大きく咲くひまわりよりも、野ばらに埋もれているクローバーを見つけ出す方が嬉しくありませんか。
ライバル球団がまだ目をつけていないような「原石」を発掘し、プロの厳しい世界で大成させる。
それは、誰もが注目する「逸材」を獲得するよりもスカウト冥利に尽きるのかもしれません。
「原石」を見つけ出すというのはスポーツだけに限りません。
私たちの生活や経済も同じです。
今や生活に欠かせない、グーグル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、これらの企業の創成期には、誰も注目していませんでした。
どんな優秀な人も組織も、世の中から注目されていない「原石」の期間は必ずありました。
その「原石」(イチロー)は、たゆまぬ努力を続け、試行錯誤して、
そして、「原石」を見出してくれる人(三輪田スカウト)に出会い、大成したのです。
イチロー選手の功績を称えるのはもちろんですが、
彼を発掘した三輪田スカウトを襲った悲劇のこともお伝えしたいと思い、この記事を執筆しました。
貴重な時間を使って読んでいただき、誠にありがとうございました!
当ブログ「徒然道草」は「人生はRPGゲーム。喜劇も悲劇も道中を楽しむ。全てエンタメに昇華し面白き世へ!」という意気込みで運営しております。
令和のこち亀をモットーに、コメディ、サブカル、お仕事、雑学、ノウハウ、自己啓発など様々な内容を投稿中!(小説家として電子書籍も出版!)
「学歴、年収、結果、出世、結婚…」 常識や世間体、既定路線の資本主義競争、昔の私は結果にこだわっていました。そんな中、とある退職が転機になり、人生観が180度変わります。 「やらなきゃいけない!」なんてない。
※ブログ運営人、私の自己紹介は姉妹サイトにて記載しております!
【姉妹サイト・関連コンテンツのご紹介】
①俺たちバグジー親衛隊 疲れた金曜の夜に、ふっと笑えるコメディを。「バカげている事ってめちゃめちゃ楽しい!人生って面白いですよ!」
![]()
ただ、今この瞬間を楽しむ。それが俺たちバグジー親衛隊に登場する人物。おバカなことも全力で生きるとなぜか楽しくなる。そんな魂を届けます。
「俺たちバグジー親衛隊」人生を楽しむ名言がスタンプになりました!
おーるおっけーありがとう! いけたら?ラッキー! フル価値観
自己打破!! クォーター間の休憩は大事! 諦めんなあ!!②クリプト≒フリプト 投資情報メディア- 「経済的自由を得て、充実した人生を送る人が増える」ための情報を発信しています。人生を楽しむために資金やお金の心配をなくしてしまいましょう!
③投資の美学 ⚔ クリプトルパン 投資情報を発信するYOUTUBEチャンネル
④徒然道草~道中を楽しむ 当ブログの音声解説や楽曲を発信するYOUTUBE
⑤エンドビギニング 筆者が2020年にAmazonで発売した電子書籍
【アフェリエイト案件のご紹介】
1⃣お名前ドットコム
当ブログはGMOグループの“お名前.com”で独自ドメインを取得しXサーバーで運用しております。”お名前.comドメイン”を取得する際には「Whois情報の公開代理を利用する」にチェックを!2⃣街コンパーティー
私の得意なエッセイジャンルに恋愛系の文章があります。私も何度か婚活イベント-フィオーレパーティーに参加したことがありますので紹介の申し込みページを設置させていただきます。
3⃣不動産業界を専門にした転職支援サービス【宅建Jobエージェント】私は国家公務員からキャリアをはじめて、合計4回転職した転職マニアです。(笑)資格の重要性を実感し、2022年宅建士を取得しました。
その際、宅建Jobエージェントという転職支援サービスのYOUTUBE動画で勉強しておりましたのでこちらも紹介させていただきます。
【ランキングにも参加しておりますのでクリックしていただければ!】![]()
【2020年には、電子書籍で小説を出版しました!】
-あらすじ-それは仮初めの幸せ?社会人に捧げる一度終わった男の再生譚。
「事務所に来てくれ」突然の戦力外通告。怪しい企業で働く塁と、泥臭く野球を続ける新藤。数奇な運命を辿る2人の情熱が`ラムダ公国`で交錯。
国策で子供誘拐、死者の復活、国民の体に赤い斑点、シューマン共振。謎の鍵を求めて古代遺跡に潜入した塁たちを、慣習に縛られた原住民が襲う。
アポカリプスの全貌,支配,働く意味とは?世界を救う鍵は紀元前1200年のギリシャ?青春、冒険、科学、ワクワクが、ここに。
【筆者の自己紹介】あらゆるジャンルの記事を書くブロガー。国家公務員、経営者団体、営業マン、仮想通貨業者、などを経て今は建設業の総務職。副業で投資やブログに勤しむ。
小説執筆、楽曲制作、コミュニティ運営(道楽舎)、投資、あらゆる分野に手を出す好奇心の塊。こち亀の両津勘吉が大好き。座右の銘は「人生は喜劇!喜怒哀楽全てエンタメに昇華!」突出した能力はないが知識の分野は広い。アイデアの錬金が得意。「中途半端王に、俺はなる!!」